2001.4.6
桜の花が満開です。先週の土曜日は東京も雪が降り、花見どころではありませんでした。この週末は「お花見」をしましょう。私が住む世田谷区太子堂では、もう20年近く、町会の花見をやっています。町会の成年部と呼ばれるおやじたちが、焼き鳥やイカ焼き・焼きそば・フランクフルトなどを作り、お年寄りから幼児まで、たくさんの人が参加します。日ごろ、忙しく、なかなか近所づきあいもできないのですが、この日ばかりは別です。「大きくなったな。大学合格したんだって」「仕事はどうだい」などと話がはずみます。子どもたちもいろいろなおじさんやおばさんから話しかけられ、社会の一員であることを自覚させられます。こういった環境が子育てには必要なのですが、地域によってはなかなか難しいようです。そんな時は気の合った友達を誘って、「お花見」に行きましょう。重箱にきれいにお弁当を作るのは大変なので、スーパーやコンビニで間に合わせればいいのです。桜の木の下で、家族や仲間と一緒に食べる食事は気分のいいものです。子どもたちも宴の周りで遊び始めます。そんな時の子供たちの人気者になる術を教えましょう。桜の花びらの笛です。花びら1枚を両手の親指と人さし指で切れない程度に引っ張り、口の前に持ってきます。親指が唇に触るぐらい近づけて、口は口笛を吹くような形にして、そっと息を吹きかけます。花びらがピイピイといい音で鳴ります。45歳の子供でも簡単にできるようになりますから、ぜひ、お試しを。「お父さん。なったよ」「おじいちゃん。いい音だね」「すごいこと知っているんだね」とほめられること間違いなしです。時間が取れなければ、夕食後の夜桜見物の散歩でもいいでしょう。わずか10日間しか咲かない桜を十分に楽しみたいものです。

2001.4.14
日本では昔から「摘み草」という遊びがありました。雪が解けた田んぼでセリ摘みをするのです。セリだけではありません。もっと早い時期でしたら、フキノトウやツクシです。山の方だったら、ワラビ、ゼンマイ、そしてタラの芽も採れます。地方によってはギョウジャニンニクやネリマガリダケを採るところもあります。採ったものは食べられます。食べられるから楽しいのです。
 都会でも「摘み草」ができます。セリやワラビは無理ですが、河原やちょっと大きな公園に出かければヨモギ摘みはできます。ヨモギを積んで、ヨモギ団子を作りましょう。ヨモギは裏が白く、毛が生えています。先っぽから23枚の葉を摘んでいきます。ヨモギがわからなかったら子供と一緒に辞典で調べるのも大切なことです。
 摘んできたヨモギを塩を一つまみ入れて茹でます。さっとゆでて冷水にさらします。水をよく切ってから、細かく切り、すり鉢でよくすりつぶします。面倒だったらフードカッターでドロドロにしてもかまいません。スーパーで売っている「だんごの粉」と混ぜて、23㌢に丸めます。沸騰している湯の中に落とし、浮き上がってきたら出来上がり。あんこをつけて「いただきます」。
 親子でこんな春の摘み草とヨモギ団子づくりはいかがですか。ひょっとするとヨモギの近くにはノビルも生えています。ノビルの根は球になっていて、さっと湯がいて酢味噌和えにすると、とても美味しい酒のつまみになります。広々としたところで摘み草をした休日の夕食のビールは、子供たちとの会話も進み、きっとおいしいものになるはずです。

2001.4.21
東京の桜は散ってしまいましたが、春の花がそこここに咲いています。こんな季節は子供とぶらぶらと散歩すると身も心もリフレッシュされます。
 子供が小さければ、肩車してあげましょう。背が高くなったような気がするし、見える景色も違ってくるので、子供は大喜びです。たんぽぽの綿毛を見つけたら、プーッと息を吹きかけて空に飛ばしましょう。飛ばし終わったら、茎を34センチちぎって、真ん中をそっと唇でくわえます。口笛を吹くように息をふきだすと、プーッと鳴ります。タンポポの笛の出来上がり。茎を長くすると低い音が、短くすると高い音が出ます。3本くわえて一緒に吹けば自動車のクラクションのような音になります。
 レンゲの花があったら、花びらを引きぬいて元の方を子供になめさせましょう。「甘い。はちみつみたい」「そうだよ。ミツバチが花から花へと飛びまわって集めてきたのがはちみつになるんだ」と教えれば「お父さんは何でも知っているんだね」と尊敬されるでしょう。レンゲと同じようにツツジもそうです。シロツメクサがあれば、花の冠ができます。クローバーが群生していたら、幸せを運ぶ「四つ葉のクローバー」を探しましょう。草木あそびの本や野草図鑑を用意しておくと、もっともっと散歩が楽しくなります。
 散歩で大切なのは、子供と体を使って遊ぶことです。「かけっこしよう」「すもうしよう」「鬼ごっこしよう」と、親と子が体を触れ合わせることがスキンシップなのです。歩いているから、抱っこもおんぶも肩車もできるのです。自動車や自転車は日常生活の道具です。たまにはそれらを置いて出かけましょう。

2001.4.28
今日からゴールデンウィークです。あそびに出かける予定は決まりましたか。不況の風が吹き荒れる中、そんな余裕はないというのが実感です。しかい、子供たちはそんなことお構いなしに「どっか行こう」「どっか連れてって」とせがむものです。
 そんな時に手軽に楽しめるのがバーベキューです。近頃はたくさんのバーベキュー場ができています。予約さえすれば、鉄板や網も貸してくれます。炭やマキも売っています。食材だけ前日にそろえておけば、一日中楽しむことができます。バーベキュー場を探したり、予約が面倒という方はカセットコンロをも持って、河原や海岸に出掛けましょう。
 自宅で使っているカセットコンロに持ち網をのせるだけでもバーベキューはできます。油や汁で汚れないようにアルミホイルで受け皿を覆うのがポイントです。好きな肉や野菜を網の上に載せ、焼けるのを待っているのは楽しいものです。ジュージューと音を立てて焼きあがった肉には、おにぎりがぴったりです。コンビニエンスストアで買ってもいいのですが、子供に作らせるのも楽しいですよ。
 出かける朝に「さあ、今日はバーベキューに行くぞ。自分の食べるおにぎりは自分でにぎるんだ」と声をかければ、子供は大騒ぎ。ラップの上にご飯をのせて、好きな具を中に入れて、ラップごと握らせます。どんな形でも自分で握ったおにぎりはおいしいのです。おにぎり作りやバーベキューで料理の楽しさを知った子供は「僕もお手伝いするよ」と食事作りに参加してくることでしょう。
 食べ終わった後は、親子で体を動かして遊びましょう。水遊び・鬼ごっこ・キャッチボール。何をやっても子供は喜ぶはずです。

2001.5.5
ゴールデンウィーク中、子供につきあってもうクタクタ。そう感じている方も多いことでしょう。しかも、今日5日はこどもの日。「お父さん、今日はこどもの日だよ。どこ行くの」と聞かれても大丈夫。お父さんもゆったりできるところがあります。
 スーパー銭湯と健康ランド呼ばれているところです。泡ぶろ、ジャグジー、打たせ湯、露天風呂などいろいろな湯船がたくさんあります。水着着用で入るところもあります。入場料は10003000円。食事もでき、もちろんビールも飲めます。連休の疲れを取るには最適です。
 水遊びの大好きな子供たちですが、温かいお風呂ですから、放っておいても風邪をひく心配はありません。「お父さんの背中を洗ってくれよ」「とっても気持ちいいよ」と子供と裸のスキンシップもできます。のんびりと入浴し、家族そろって早めの夕食を済ませて帰宅すれば、奥方もきっと大喜びのはずです。
 近くにそんな場所がなければ、普通の銭湯に行くのもいいでしょう。子どもの日ですから、しょうぶ湯になっています。しょうぶの茎をくわえて息を吸い込むと、ピッピッと音が鳴ります。「しょうぶの笛だよ」と教えれば「やりたーい。どうやるの」と聞いてくるはずです。日本の伝統行事を子供に伝えていくのも父親の大切な役目です。
 銭湯に行かなくても、今日の風呂にはしょうぶを入れましょう。スーパーや八百屋でヨモギと一緒になって売っています。「せいくらべ」の歌のように、子供の身長を柱や壁に刻んでおくのも楽しい。1年間の子供の成長が目に見えます。少子化が進む現在、子供と一緒に過ごすことが楽しいと実感できるようなこどもの日にしたいものです。

2001.5.12
今日は岩手県千厩町(せんまやちょう)に田植えに来ています10年ほど前から、子供たちに農業体験をさせようと、幼児や小学生と一緒に12日の田植え体験学習をやっています。
 午後にドロドロの田んぼに入り、手で苗を植えていきます。最近は田舎の子供でも手で植えることをしないので、地元の子供たちも参加します。素足で田んぼに入った子供は「ぬるぬるしている」「気持ち悪い」とはじめは否定的な感想を口にしますが、そのうち「田んぼってあったかいね」「苗がもうなくなった」「もっと、こっちに苗を投げて」と、大喜びで作業していきます。
 もっとも30分ほどで飽きてしまい、あとはタニシやドジョウを捕まえたり、カエルを追いかけて、泥んこになってしまいます。植え残したところは、最新の田植え機で農家のおじさんが行います。「ワー、スゲー速い」「いっぺんに植えられちゃう」「かっこいい。あれに乗りたい」と大はしゃぎです。そんな経験を通して、子供たちは昔の人々の仕事の大変さや、最新の農業機械の素晴らしさを自然と学んでいくのです。
 夜には廃校になった小学校を改装した交流センターに宿泊。教室だったところが広い畳敷きの部屋になっています。近年はこのような農業体験が各地で出来るようになっています。お近くのJA (昔の農協)にお問い合わせください。
 田植えはもう終わりですが、炭焼き、牛の世話、稲刈りなどいろいろな体験を親子でしてみるのも楽しいものです。岩手県では10月下旬まで様々な体験ができるようです。問い合わせは東磐井の里体感フェスタ実行委員会まで。

2001.5.19
新学期が始まって1ヶ月半。子どもたちも新しい生活に慣れてきたことでしょう。今日は自転車の補助輪を外す話です。
 子供にとって補助輪なしに自転車に乗れるということは、ちょっぴり大人になったような気がするものです。しかし、そのためには、転んだ時の痛さと転んでしまうかもといった恐怖心と闘わなくてはなりません。
 運動神経のいい子だったら5歳ぐらいで、普通は小学校の12年生で乗れるようになります。水泳と同じで、この時期を逃すと恐怖心やプライドがじゃまをして、「自転車なんか乗れなくてもいい」とか「泳げなくなったって困らない」と居直ってしまうことも多いので、根気よく教えることが大切です。
 もちろん先生はお父さんです。補助輪を外した自転車をもって、近くの公園へ出かけましょう。最初はペダルを使いません。両足が地面に着く位置までサドルを下げ、両手でハンドルを握らせ、足で地面をけって進む練習をします。はじめのうちは、すぐに足を付いてしまいますが、だんだんと、足が空中にある時間が長くなっていくはずです。それができたら、両足で地面を蹴ったら、その足をペダルに乗せるように指導します。
 ここまでの過程では子供は転ぶことが少ないので嫌がらないはずです。この方法で10㍍近く進めるようになったら「お父さんが後ろを押さえているから、こいでごらん」とペダルを踏ませます。数回繰り返し、子供に自信がついてきたなと思ったら、そっと手を離しましょう。
 5,6㍍先で転んだら「一人でこんなに乗れたね」とほめれば、泣かずに練習を続けるはずです。ほとんどの子は1日か2日で乗れるようになります。

2001.5.26
ガーデニングが流行しています。花屋の店先にも、色とりどりの花の株を売っています。花もいいのですが、子供がいる家庭では、野菜を植えてみるといいと思います。今の季節ですと、ナス、キュウリ、トマト、ピーマン、ミニトマトなどの苗が売られています。
 大きめの植木鉢やプランターに植えると十分に育ち夏には実がなります。土も肥料も花屋で買えます。やり方のわからない人には教えてくれるはず。子どもと一緒に花屋に行き、好きな物を買って育ててみてはいかがでしょうか。都会の子供にとって、野菜がどんなふうに実るのか知る機会はほとんどありません。スーパーに行けば、一年中、トマトもキュウリもナスも売っているので、本来は夏の野菜であることも理解していないのではないでしょうか。子どもは直接的な体験を通して様々なことを学びます。軍手(初めて見る子もいることでしょう)をはめて、黒土や腐葉土を触り、苗を植え、水をやって、ベランダに置きます。「水をやるのはきみの仕事だよ、忘れるなよ」と念を押しておけば、子供の責任感も自然と育っていきます。
 苗ではなく種から育てられるものもあります。二十日ダイコン、パセリ、ラディシュ、サラダ菜などが楽にできるでしょう。プランターに種をまけば、3週間ほどで食べられます。ベランダにそんな野菜があれば「ちょっと、パセリ採ってきて」という母親の言葉で、食事作りを手伝うようになるかもしれません。
 子供は、自分が努力して実らせた野菜に愛着を感じるものです。「きみの育てたピーマンは、とてもおいしいね」とほめれば、ピーマン嫌いな子でも食べてしまうかもしれません。

2001.6.2
雨が多い季節です。室内で遊ぶ機会がどうしても増えてしまいます。家の中での遊びというと、ビデオやコンピューターゲームを思い浮かべてしまいますが、それは最小限度にしたいものです。
 子供が小さければ小さいほど、体を使った遊びをしたいものです。23歳の子供でしたら、お父さんがお馬さんになって背中に乗せて動き回るだけで大喜びです。おすもうごっこでも、戦いごっこでもいいのです。人間らしい感情を作り上げるには、体を触れ合わせ、ぶつけあうことが大切なのです。
 積み木遊びなども手先の訓練を兼ねる創造的な遊びです。しかし、小学生も高学年ともなると、それでは満足しません。そんな時は、日曜大工ごっこをしてみませんか。作るものは簡単なものでいいのです。木を切ったり釘を打ったりすること自体が目的なのです。
 今の子供たちは、のこぎりや金づちを目にしたり、使ったりする機会がほとんどありません。ですから、父親が使い方をちょっとアドバイスするだけで、くぎ打ちや木を切ることを夢中でやります。もちろん上手にはできません。しかし、それ自体が遊びになっているので、とても楽しいようです。同じ太さの角材をどっちが先に切れるか競争したり、どっちが早く5本の釘を打ち込めるかを競ったりすれば、もっと楽しくなってきます。
 そんな道具がいつでも使える東京・世田谷の世田谷公園プレーパークでは、小学生たちが1時間も2時間も遊んでいます。小屋を作ろうとしている子供もいます。昔の人が考え出したのこぎりや金づちという道具を、子供たちを通して21世紀にも残していきたいと考えています。

2001.6.16
梅雨の合間でも、晴れ上がり真夏のような日差しになることがあります。そんな週末は汗をかくため、ハイキングが一番。子どもの年齢や体力に合わせて24時間の好きなコースを選びましょう。
 ハイキングのガイドブックは、地域別にたくさん出版されています。自宅から交通の便が良いところを選びましょう。汗をかきに行くのですから、用意するものはタオルはもちろん、下着なのの着替えもお忘れなく。せっかくいい汗をかいたのに、帰りの電車の冷房で体調を崩しては元も子もありません。びっしょりになった下着は着替えてから帰りましょう。
 持っていくと楽しいものは、熱いお湯を入れた魔法瓶です。インスタントみそ汁や紅茶、カップめんなど好きなものができます。冷たい飲み物は、半分凍らせたペットボトルの方が軽くて便利です。あめやチョコレートなど甘いものも持っていくといいですね。
 歩くときは、子供の歩調に合わせましょう。普段歩いているアスファルトの道路と違って、足の裏で感じる土の道は、とてもいい気持ちです。「土って軟らかいね」「空気がいつもと違うみたい」「森林浴って言うんでしょ」などと会話も弾みます。弁当は、おにぎりとゆで卵と缶詰。今の子供たちにとって、缶詰を開けて、そのまま食べるといった経験はほとんどありません。ゆで卵のカラを自分でむくことも大切。魚肉ソーセージを丸かじりするのもいいもんです。インスタントみそ汁もおいしく感じます。昼の休憩が終わったら、もうひと踏ん張り。この季節に汗をびっしょりかくと、じめじめした梅雨も、暑い夏も乗り切れるはずです。ハイキングで汗をかいてみましょう。


2001.6.23
うっとおしい梅雨です。雨が降っていると家の中でゴロゴロしがちですが、雨の中の散歩もいいものです。大きめの傘をさし、子供と出かけましょう。
あじさいの花が雨に濡れてとてもきれいです。色が濃いもの、薄いもの。ピンクがかっていたり、青みがかかっていたりします。「なんで、いろいろな花があるんだろう。不思議だね」子供との会話では、感覚を共有することが大切です。
 散歩道や公園に色づいたビワがなっていたら、ちょっと味見してみしょう。売っているものよりは酸味が強いけれど、みずみずしくっておいしいですよ。グミやゆすら梅の赤い実も食べられます。梅の木の青梅を見つけたら「あの身を塩と赤ジソの葉で漬け込むと梅干しができるんだよ」と教えてあげましょう。
 植物だけではありません。アジサイの葉の裏にはかたつむりがいるかもしれません。かたつむりを捕まえたら12週間、ペットとして飼ってみましょう。エサはキャベツの葉でOK。飼育箱はふたがないと逃げ出すので注意してください。それと霧吹きで水をまき、乾燥させないことが大切。ニンジンを薄くスライスしてエサにすると、オレンジ色のウンチをします。子供が飽きてしまったら、捕まえた場所に行って、逃がしてあげましょう。
 ツバメの巣では、ヒナたちがピイピイと親ツバメが虫を捕まえてくるのを待っています。そんな光景を眺めながら,雨の散歩を楽しんでください。
 アスファルトの道路でも、車から落ちたオイルが雨水に濡れ、虹のような模様を作っています。「道路に虹があるよ」「きれいだね」子供と一緒にいろいろなことに感動してみましょう。



2001.6.30
今日で2001年も半分終わりです。来月の20日過ぎにはもう夏休み。そろそろ子供との夏休みの計画が話題になる頃です。
 先週末、私は小学校の男の子と長野県の戸隠村へイモリ釣りに行ってきました。田植え、キャンプ、稲刈り、スキーなどの自然体験を子供たちにさせるための合宿の一つです。木の枝を釣り竿にしてフナ針とおもりをつけて、ミミズを餌にします。石垣の間にそっと下ろすとイモリが釣れます。イモリのほかにもフナが食いついてきます。
 昨年はイモリ20匹、フナ30尾が釣れましたが、今年は水温が低いためか、フナしか釣れませんでした。それでも子供たちは「去年の2匹がまだ生きているからいいや」「今度もっと暑くなってから来ようよ」と、それなりに楽しんでいたようです。
 先週書いたデンデン虫と同じように、両生類はペットとして飼うのは簡単です。「金魚の餌」や「亀の餌」を与えておけば死にません。月に12度水を換えれば、23日餌を忘れても平気です。
 戸隠村では中学生や高校生の体験合宿をたくさん受け入れています。炭焼き、そば打ち、竹細工などいろいろな体験ができます。私が25年も利用している山小屋まるや(
0262542288)のおやじは、そのコーディネーターです。今、子供たちに何を与えることが必要かを常に考えており、どんな相談にものってくれるそうです。
 夏休みに子供と自然を体験したいと考えている方には、とても強い味方です。
 戸隠村へのアクセスはhttp://www.naganoken/vitogakushi/

2001.7.7
今日は七夕です。織姫と彦星が一年に一度、のデートの日です。雨が降ったり曇ったりせず、星空が見えるといいですね。
 日本各地には、七夕にまつわる様々な行事があります。軒下に折り紙や色紙で細工した笹(ささ)飾りを飾り、短冊に願い事を書くと思いがかなうといいます。小学校の七夕集会の短冊には「一輪車に乗れますように」「テストで100点とれますように」「いっぱい泳げますように」など、子供らしい願いが書かれていました。保育園の星祭りの短冊には「病気をしないで、たくさん登園できますように」「早くアンヨができますように」「お友達と仲良く遊べますように」など、母親の切実な願いも書かれていました。
 今日は自宅で、七夕飾りを作ってみませんか。折り紙や千代紙を買ってきて、いろいろな飾りを作りましょう。事務用品が発達したので、普段、子供たちが使うのはホチキス、セロハンテープ、スティックのり。こよりや普通ののりを使うことは、ほとんどありません。でも、七夕飾りにホチキスやセロハンテープは似合いません。人さし指でノリを塗って紙細工を作りましょう。
 和紙でこよりを作って、紙細工を笹につけます。短冊に家族全員の願いを書けば、出来上がり。作業中、子供の願いや望みを聞けるかもしれません。いい機会ですので、子供とたくさん話しましょう。
 夕食を終えて星空を見れば、こと座のベガ(織り姫)とわし座のアルタイル(ひこ星)が天の川をはさんで見えます。もう少し北の方には、はくちょう座のデネブも輝いて見えます。その3つの星を結ぶと、夏の大三角形です。親子で夜空を眺め、宇宙の大きさを感じるのも大切なことです。

2001.7.14
昨日13日からお盆です。昨夜は迎え火をたきましたか。1年に1度、ご先祖様が自宅に帰ってくる時です。東京ではキュウリで馬を、ナスで牛を作って、御先祖様を招き入れます。迎え火の煙に乗ってやってくるとも言われています。
仏壇に先祖の好物をお供えして、供養します。こうした日本の昔からの伝統を子供に伝えていくのは、大切なことです。「きみのひいおじいさんの田舎は秋田県。ひいおばあちゃんの田舎は山形県なんだって。ずっと昔だけれど、その2人が結婚してパパのお父さんが生まれた。パパのおじいさんやおばあさんなんだけれど、なんだか不思議だよね。その2人が出会わなければ、パパも君もいないんだから」と祖先の話をすることも必要です。
 さて、来週末から子供たちは夏休みです。大きな紙を用意して、家族全員の予定表を作りましょう。みんなの休みが重なった時は家族旅行ができそうです。「どこへ行こうか」と聞くのではなく「どんな事をやってみたい?」とか「何か、やったことのないことにチャレンジしようと思うけど、何がいいかな」と聞いてみてください。
 夏休みは、学校や日常的な生活では体験できない自然体験ができるいい機会です。キャンプ・サイクリング・海水浴・虫捕り・山登りなど一緒に体験することで、親子の関係は深まります。父親が子供に様々な技術や考え方を伝えてください。「この木の幹に、こうやってハチミツを塗っておいて、明日の朝に早く来るとカブトムシが捕まえられるんだ」と話せば、子供は尊敬の目で父親を見るようになります。
 父親は常に子供のスーパーマンでありたいもの。それが子育ての秘訣です。

2001.8.4
7
25日から同31日まで、岩手県の黄金山キャンプ場で、小学校1年生から高校3年生まで90人の子供たちとキャンプを楽しんできました。日中は東京と同じように暑いのですが、朝晩は涼しく、とても過ごしやすいです。子どもたちは池でドラム缶のいかだに乗ったり、木陰で本を読んだりと、時間に追われて生活している都会の子供にとって、自分で時間を管理でき、母親の小言からも逃れられるキャンプ生活は「心の癒(いや)し」体験なのです。
 さて、きょうは炭を作る話です。炭焼きを本格的に行うのは大変ですが、クッキーやおせんべいが入っていた空き缶を利用します。缶のふたの隅に23か所釘と金づちで穴をあけます。缶の中にすみにしたい小枝や松ぼっくりを入れ、フタをし、針金で十文字に縛り、ふたが開かないようにします。それをたき火の中にいれ510分すれば、出来上がり。缶を火から取り出し、冷めたら開けます。松ぼっくりの形のまんまの炭ができます。自宅で行う時は缶をそのままガス台に乗せて火をつけてもできます。ただし、自宅でやる時はくぎで開けた穴から一酸化炭素が多量に出てきますから、換気に十分注意してください。
 出来上がった松ぼっくりの炭はもちろん炭として使うこともできます。うまく缶の中に入れる量と火にかける時間を調節すると、葉のついた枝や花も炭になります。紅葉の葉の炭や菊の花の炭もできます。宿題の自由研究としてトライしてみるのもいいかもしれません。
 どんなことでも親子一緒になってやってみることが大切です。それが親と子のきずなを深めるのです。

2001.8.11
夏真っ盛りです。こう暑いと水が恋しくなります。川や湖や海に出かけましょう。
 海水浴といえば、すぐに思い浮かぶのは白い砂浜。ビーチパラソルを立てて、泳いだ後に日焼けや砂遊び。砂浜に穴を掘って池を作ったり、スイカ割りをするのもいいですね。昔は、夏の子供会の行事といえば、スイカ割りでしたが、この頃はあまり見かけなくなりました。しかし、スイカ割りは、とても楽しいし、子供にとって大切な体験をさせる遊びなのです。
 手ぬぐいで目隠しをして歩くことで、目の見えない人がどんなに大変かを実感できます。街で白い杖を持った人に出会ったとき、優しくサポートできる子になるかも知れません。
 砂浜の次は磯遊び。潮だまりと干潟が点々と続く磯は、海の生物の宝庫です。カニやヤドカリを捕まえようと子供は夢中になります。ヒトデやイソギンチャクも見られます。イソギンチャクに指を突っ込んでみると、触手が閉じて、どうやって捕食するのかが分かります。
 岩の奥をのぞくと、ウニや「ツブ」と呼ばれるバテイラなど、食べられるものも見つかるかもしれません。アメフラシの姿はグロテスクですが、子供には人気者です。刺激を与えると、紫色の液を吐き出します。これはタコの墨吐き同様、敵の目をくらますもので、海水がきれいな紫色になります。ナマコは刺激されると腸を吐き出します。体につくとベタベタし、なかなか取れないので注意しましょう。
 子供たちはいろいろな生命の形に出会い、目を見張ることでしょう。この夏、1回は子供を海に連れていってほしいものです。

2001.8.18
月遅れのお盆休みはいかが過ごされましたか。久しぶりに故郷に帰省し田舎暮らしを楽しんだ方も大勢いらっしゃることでしょう。子どもたちもナスやキュウリやトマトの収穫を手伝ったり、貴重な体験をたくさんしたことと思います。
 子供にとって、体を動かし、五感を働かせての作業は、とても良い学習となります。「キュウリにはとげがあるんだよ」「ナスのヘタにもとげがあったよ」と学校では絶対に学べないことを、どんどん吸収していきます。
 農作業だけではありません。買い物や調理・洗濯など日常的な家事労働を一緒にすることでも、子供たちには様々な発見があるようです。どんなことでも体を動かして直接体験することが大切なのです。
 我が家のように田舎のない家庭でも、お盆期間の人と車の少ない東京は、いつもと違った楽しみ方ができました。都心に自転車を乗り入れ、サイクリングを楽しむこともできました。体力に自信があるお父さんなら、子供と一緒に東京タワーを、階段を使って登るとか、レインボーブリッジを歩いて渡るというのもいいかもしれません。
 遠くの観光地まで出かけなくても、手漕ぎのボート乗り場は都内にたくさんあります。そんなところで、ボートのこぎ方を子供に伝授できるのも、夏休み中の父親の楽しみかもしれません。
 近くの小学校や神社で行われている早朝のラジオ体操に参加するのもいいものです。夏休みだからといって、遠くに出掛けたりするばかりでなく、近くで、気軽に親子で遊べる事を考えましょう。夏休みは子供のためだけにあるのではありません。お父さん自身がリフレッシュできなければ意味がありません。気軽に夏休みをエンジョイしてください。


2001.8.25
明日26日は子供たちとって夏休み最後の日曜日。「ねぇ、最後の日曜日だから、どこかへ連れてって」とねだられるのが目に見えます。遠出をすれば疲れるし、財布の中身も心配です。それなら、こんなのはいかがでしょう。
 「さぁ、夏休み最後の日曜日だ。プールに行く」と声をかけ、自転車で近くの区営プールへ出かけましょう。料金も安いし、23時間単位なので、そう疲れる心配もありません。
 帰りがけにスーパーによって「今日は男の料理を作るから、君たちも手伝ってくれよ」と一緒に買い物をします。肉とタマネギ、ニンジン、ジャガイモ。カレーのルーは「男の料理は辛口なんだ」といつもより辛口にします。帰宅したら、子供たちに手伝わせて、下ごしらえ。タマネギを切って「男が涙を見せるのはタマネギを切るときだけ。絶対、泣いてはいけないんだ」とかかっこつけて、ジャガイモ、ニンジンを切ります。「キツネ色になるまで、ちゃんといためろよ」「次は肉」「ジャガイモやニンジンが煮えたら、ルーを入れる」と子供たちに指示します。
 普段、父親から命令口調で言われることの少ない子供たちですから「お父さんって、本当は、かっこいいんだ」と思うかもしれません。出来上がったら、みんなで夕食。「君たちが作ったカレーは、とてもうまい」とほめることも忘れずに。そして、夕食後は花火でもやりましょう。
 寝る前には、子供たちに訓示をしましょう。「今日もたくさん遊んだね。もう夏休みも終わり。今度の土曜日は始業式だから、宿題をちゃんと終わらせておくように。2学期も元気で頑張ってほしい」と。父親の一言はとても大切です。

2001.9.1
今日91日は防災の日。子育てで一番大切なことは、子供の命を守ることです。乳児の命を守ることです。乳児や幼児がいる家庭では地震で物が落ちてきたり、家具が倒れてこないようにさまざまな工夫をしてほしいものです。
 子供自身の転落事故を防ぐため、階段、窓、風呂場の浴槽、洗濯機などにも安全対策をしましょう。子供が小学生や中学生だったら、明日の日曜日はサバイバルごっこをしましょう。まずは、一時避難場所と広域避難場所の確認です。「大地震が起きた時は、まずここまで逃げてくるんだよ」と教えてあげましょう。途中の道々で「ここのブロック塀は倒れそうだから、そばには寄るな」「車がいなかったら、なるべく道の真ん中を歩くんだぞ」と注意しながら歩いてみましょう。
 広域避難場所は広いので、家族の集合場所を決めておくことも大切。「昼に大地震が起きたら、お父さんは歩いて帰ってくるから、夜中か、次の日の朝になるけど、必ずここに来るからそれまで頑張るんだぞ」と決意を伝えることも忘れず。
 昼食は、ガスや電気を使わないでご飯を炊いてみましょう。なべや空き缶に米と水を入れて、マキで炊くのですが、たぶんおこげになるでしょう。おこげにしょうゆをかけて食べるのもおいしいもの。子どもと一緒に体験することが大事なのですから失敗してもかまいません。
 夕食は、電気を消して、ろうそくや懐中電灯の光で、缶詰をおかずにして食べましょう。肉やウィンナーを缶から直接食べる経験など、今の子供たちはほとんどありませんから、意外と喜びます。もちろんテレビもなし。家族の会話がきっと増えるでしょう。

2001.9.8
先週の日曜日、多摩川で面白いイベントがありました。東京・世田谷区の青少年委員会が主催した「第4回アドベンチャー・イン多摩川」です。夏休みを使って小、中学生たちは親や教師と手作りしたいかだに、大人と子供が一緒に乗って多摩川を下るのです。安全チェックをパスした70艇が出場しました。34艇が5分間隔でスタート。バランスを崩して転覆するものや、オールやサオを全く使わず流れに任せっぱなしのものなど様々です。
 スピード部門とデザイン部門で優勝を決めるので、いかだの形や重さも個性的でした。応援にもたくさんの親子が参加しました。全艇がゴールしたら昼食。焼き肉やバーベキューなどグループごとに楽しそうに食べていました。
 このイベントで目立っていたのは、お父さんの方です。いかだの搬入、搬出はトラックがほとんど。建設会社、食肉会社、運送会社などのトラックを運転して重いいかだを川まで運び、子供たちにアドバイスし、ゲキを飛ばす父親がたくさんいました。
 いま、小学校や中学校では従来のPTAとは別に「おやじの会」なるものができています。この日も多数の親父の会が参加していました。子どもたちと直接かかわるだけでなく、父親同士が酒を飲みながらコミュニケーションを深めることは有意義なことです。職場とは違った人間関係の中、父親自身もリラックスできるでしょう。子どもの育て方のアドバイスを先輩親父から受けることもできます。
 「遊んで子育て」は子供と一緒に遊ぶことだけではありません。父親自身が遊ばなければ楽しくありません。おやじ同士の交流も子育てには大事なことなのです。

2001.11.10
秋真っ盛り、紅葉や初雪の便りも聞こえてきます。こんな時は列車で遠くまで旅してみませんか。
 ことしはJR東日本が「3連休パス」を発売しているので、安い旅費で旅が楽しめます。2325日の3日間、新幹線の指定席を含め乗り放題の切符です。大人が24000円、中高生が12000円、小学生が6000円です。遠くまで行っても同額なので、おととしは同じような切符を使って、秋田県田沢湖の乳頭温泉鶴の湯にいきました。
 いろりに炭をおこして、イワナを塩焼きにしたり、芋の子汁といった郷土料理を楽しむのもいいものです。11月の連休だと運が良ければ初雪と出会えるかも知れません。家族連れで列車で旅をするのはいいものです。向かい合った席に座り、とりとめもない話をすることは大切なことです。
 普段の生活ではなかなかそのような時間はとれません。車窓からの景色を見ながら、いろいろなことも学べます。温泉に入るのも、名所旧跡を見学するのもいいことです。もし子供が小学生だったらいろんな体験をさせてあげてください。
 リンゴ狩り、ミカン狩り、柿もぎ。自分の手で採ったものを、すぐ口にできる収穫は楽しいものです。そば打ちもいろいろなところで体験できるようです。そば粉をこねて、めん棒で延ばし、大きな包丁で切っていきます。多めのお湯でゆでて、冷水にさらせば、おいしいおそばの出来上がり。
 
私は3連休の切符を使って長野県の戸隠にそば打ちに行く予定です。善光寺さんの胎内めぐりもしようと思っています。真っ暗な中で、幸福のカギに触りたいものです。日本の秋を家族で楽しみたいものです。

2001.11.17
食欲の秋です。寒くなってきたので日が恋しくなります。子どもたちとたき火をしてみませんか。
 色とりどりの落ち葉をくま手で集めて、落ち葉たきをしましょう。今の都会の子供たちは「くま手」や「落ち葉たき」を知らないかもしれません。ぜひ、教えてあげてください。近所でたき火ができなければ、プレーリーダーがいて火が使える公園もあります。
 たき火といえば焼きイモです。焼きイモの上手な作り方は、サツマイモを洗って濡れた新聞紙で包み、その上をアルミホイルでさらに包みます。普通はたき火がオキになってから入れますが、この方法だと少し火が燃えても、黒こげになることはありません。また、ジャガイモでやってもおいしいです。
 焼きイモの次はいも煮会。山形地方の秋の風物詩ですが、河原で火をたき、みんなでなべを囲みます。鍋の中は里芋と牛肉。砂糖としょうゆで味付けし、ゴボウやキノコやこんにゃくを入れてもおいしいです。
 数家族が集まって、子供たちは子供同士で遊び、大人はビールやワインを飲みながらおしゃべりをして秋の日を過ごすのは楽しいものです。家族だけで出かけると、どうしても子供の遊び相手をしなければなりませんが、気の合った数家族で出かければ、大きい子も小さい子も混ざり合って遊ぶものです。
 少子化の時代と言われ、各家庭の子供の数も多くて23人。兄弟姉妹のかかわりも少なくなっています。そんな時代こそ、異年齢の子供と遊ぶ機会をたくさん作ってあげたいものです。小学校高学年の子から幼児までが一緒に遊ぶには、親がチャンスを作るしかありません。さあ、今週末は「いも煮会」に出かけましょう。


2001.11.24
東京も紅葉と落ち葉の盛りです。風も冷たくなってきましたが、その分、空は青く感じられるようになりました。こんな季節は山登りが最高です。もっとも、子供と一緒なら、本格的なものではなく、日帰りのハイキングがいいでしょう。
 手軽なところは東京の西、富士山の手前に横たわる丹沢山地です。塔ノ岳や丹沢山が主峰ですが、子供づれですから、もっと南の小田急線に近いハイキングコースを利用しましょう。おすすめは日向山です。小田急線の伊勢原駅からバスで日向薬師まで30分弱。そこから、参道の石段を上がって20分ほどで本堂です。
 ゆっくりと休んでトイレを済ませたら出発。本堂の裏の林道に道標があります。子連れでゆっくり歩いても40分ほどで山頂に着きます。山頂では、東側の展望が開けているので、晴れていれば厚木や東京方面がよく見えます。尾根沿いに下ってくるとわかれ道。右に行くと七沢温泉。左に行くと広沢寺温泉。どちらに下っても小1時間で着きます。短いコースなのですが、傾斜があるので山登りをした気になります。
 時間があれば、1000円ほどで温泉に入ることもできます。15分ほど歩いたバス停から、伊勢原か本厚木へ戻ることができます。幼児連れでも楽しめる初心者のコースですから、家族で出かけてみましょう。子どもが小学生だったら、鐘ヶ岳から広沢寺温泉というコースもあります。もっと高い山がいい時は大山がおすすめ。ケーブルカーを使って下社まで行けば、1時間半ぐらいで山頂まで登れます。
 
子供と一緒に声を掛け合って登れば、親子のきずながきっと強くなることでしょう。日ごろの運動不足の解消と子供の自然体験のために、ぜひ山登りをしましょう。



2001.12.1
今日から12月。寒くなって、子供たちもなかなか外に出たがりません。「子供は風の子。外で遊べ」というだけではだめです。父親も頑張って一緒に体力づくりをしましょう。フルマラソンにも挑戦です。もちろん42.195キロを一日で走り切るというのは無理です。完走の目標は3学期の終業式。1日に走る距離は500㍍。85回で完走です。
 500㍍走るのは楽にできます。どんなにゆっくりでも5分。雨の日や気分の乗らない日は休み。調子のいい日は2回分走ってもOK。走り終わったら、作って置いた完走表を1コマ塗りつぶします。ドラえもんなどのシールを張っていくのもいいでしょう。
 10日間ほど続けると子供も欲が出てきて「今日は2回走ろうよ」などと言い出します。3月の末にはフルマラソンどころか100㌔完走も可能です。毎日の積み重ねが、すごい記録になるということを実感できます。ついでに1回ごとに10円玉を1個ずつ入れていくと、フルマラソン完走記念おこずかいとして、850円を子供に与えることができます。
 朝でも晩でもいいんです。たった5分の体力作りです。頑張ってみませんか。雪国で走ることができない場合は、マラソンの代わりにナワトビをやりましょう。1度に500回飛びます。後のやり方はマラソンと一緒です。
 父と子が同じ目標に向かって一緒に行動することが大切です。父親の努力している姿を見せることで、子供自身も努力の大切さを学ぶのです。親の働いている姿がなかなか見えにくい現代こそ、そんな親子の共同作業が必要なのです。親子で白い息を吐きながら走っている姿は、はたから見ていても微笑ましいものです。

2001.12.8
「不況だ、不況だ」と言われていても、師走の商店街は例年のごとく、それなりに活気づいています。そんな商店街でアルバイトしている、たくさんの高校生。つい、23年前、中学校のリラックスルームに進路や友人関係の悩み相談に来ていた子どもたちも様々な場所で働いています。
 コンビニやスーパーで真剣にレジを打っている時の彼女たちの顔は制服姿で会う時とは、まったく違い、輝いています。ガソリンスタンドで働いている男の子の「ありがとうございました」という大声は、道ですれ違った時にかわすあいさつとは比べ物にならないほど生き生きとしています。
 授業に職場体験などを取り入れる中学校も増えているのに、私立の高校では、まだアルバイトを禁止している学校も多くあります。子供たちの表情を見ていると、働くことに喜びを感じているようです。バイト代が入るからだけでなく、大人として1人の職業人として責任を持たされていると感じるからなのでしょう。
 他人に信頼され、職務を全うしようと努力することが子供を大きく成長させます。年末、年始は短期間のアルバイトがたくさんあります。高校生がいる家庭は、ぜひアルバイトをさせてほしいものです。
 お歳暮用品の配達、郵便局の年賀状の仕分け作業や配達など、高校生に期待されている仕事もたくさんあります。「かわいい子には旅をさせよ」と言います。大人の社会の中で働くことで、ルールやマナーを学ぶいい機会です。「他人の飯を食う」ことで、きっと大きく成長することでしょう。また、そのことがきっかけにもなり、親子での会話も豊富になってくるはずです。高校生よ、バイトをしよう。

2001.12.22
今日は夏至。一年のうちで夜が一番長い日は、ゆず湯。家族で、ゆったり、ゆず湯に入って、この1年間を振り返る時間にしてみるのもいいものです。
 新聞などで2001年の10大ニュースなどをまとめていますが、家族で一人一人の「今年の初体験ベストテン」を話し合ってみるというのはいかがでしょう。
 さまざまな体験は子供の発達に不可欠。話しているうちに、この1年間の成長の大きさがわかるはず。34歳の幼児であれば「生卵が上手に、一人で割れた」「スキップができるようになった」。小学生になれば、もっと様々な体験ができるはず。ちなみに今年、私が小学生と一緒に体験したことを紹介します。
 皆さんの子供たちは次のようなことを、いくつ体験できたでしょう。1月、畑で小松菜を取る。雪山を歩いて、ウサギの足跡を探す。2月、豆まきの紅白餅を拾う。3㌔のマラソン。3月、ポピーやキンセンカの花摘み。大山に登る。4月、お花見で桜の花びらを笛のように鳴らす。ヨモギを摘んで、団子を作る。5月、河原でバーベキュー。ハイキングで牧場に行って牛にさわる。6月、戸隠でイモリ釣り。親子でソフトボール大会。7月、地域の清掃活動で沿道の草取り。5泊6日のキャンプ。8月、ボウリング。海に潜って泳いでいる魚を見る。9月、多摩川をイカダで下る。稲刈り。10月、祭りでみこしをかつぐ。幼稚園の運動会の手伝いをする。11月、子どもの国で落ち葉を拾う。いも煮会で料理。12月ニュースポーツに挑戦。
 アウトドアでの自然体験を親子で一緒にすることはとても大切。体験が発達を促すだけではなく、親子のきずなを強くします。なるべく週末は戸外で遊びたいものです。


2001.12.15
あと半月で今年も終わり。昔は各家庭で行っていた「餅つき」も、今は小学校の行事として行われるようになりました。都会では近年、正月用の餅は米屋さんに頼むかスーパーで買うので、子供は「餅つき」など見たこともありませんでした。
 しかし、来年度から各学校で行われる「総合的な学習の時間」との絡みなのでしょう。今まで行事として取り上げていなかった学校でも「餅つき」を行うようになりました。
 子供たちにとっても良い体験です。もち米をセイロでふかし、ウスとキネを使い、もちをつく。まきを燃やした時の煙のにおい、湯気を上げる米、キネの重さ。さまざまなことが子供の感動に働きかけます。
 重いキネを持ち上げて、もちをつくのは大変なこと。もちろん、子供たちだけでできる作業ではありませんから、PTAやおやじの会の大人にも声がかかります。そんな時は自分がやったことがなくても、手伝いに出かけましょう。若いご両親は初めての人が多いでしょうが、心配しなくてもいい。地域の年配の方が丁寧に指導してくださるはず。
 子供と一緒に餅つきを体験してください。年末になると町内会や消防団の夜回りも始まります。カチカチの音が聞こえたら子供と一緒に参加させてもらいましょう。きっと大歓迎のはずです。夜回りはいちばん身近なボランティア活動。親子で近所の人たちと一緒に夜回りすると、いろいろな話を聞けます。その地域の昔話や伝統的な行事の話は親子ともども勉強になるはず。隣近所との付き合いが増えるのは子供にとって大切なことなのです。

2001.12.29
あと3日で2001年も終わり。正月の準備で忙しいことでしょう。明日は子供と一緒に「おせち」作りに挑戦してみませんか。
 「おせち」には、それぞれ子孫繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)の意味が込められています。ハスは先が見えるように、クワイは芽が出るようにと言われています。でも、全部作るのは大変。子どもが小さければ「たづなコンニャク」を作ってみましょう。
 コンニャクを5ミリの幅に切ります。短冊形になったら上下を5ミリほど残し、真ん中に縦方向に切れ目を入れます。その穴の中に上下の一方をくぐらせば、出来上がり。馬の手綱に似ているので「たづなコンニャク」というようです。
 あとはだし汁とみりんとしょうゆで煮ればOK。くるっと穴をくぐらると違った形になるのが面白く、子供は一生懸命に手伝います。大きい子だったら、ニンジンを梅の形に飾り切りしたり、菊花カブを作らせるのもよいでしょう。
 日ごろ、家族全員がそろっての食事の回数は減っています。正月こそ家族で食事を楽しみたいものです。会話の中で家系図を作るのもいいですね。子どもたちは年始で出会う親類の人か、どういう関係なのか、わかっていないことも多いようです。家系図作りの中で自分のルーツを学ぶのも大切なこと。親子で遊んだり、会話する中で人類の長い歴史を思い起こさせることも子育ての大切な仕事です。
 昨年夏から1年半にわたり「男の子育て」「遊んで子育て」をお読みいただき、ありがとうございました。1月からNECのブロードバンド・メディア・ステーションで「石川由喜夫の子育て講座」を毎週放送します。ご覧いただければ幸いです。最後に子育ては、ゆっくりと楽しく、遊びながらしましょう。

(スポーツ報知2001年4月6日~2001年12月29日連載分より転載)
遊んで子育て
 

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